オルガンの宗教性との関わり方

20.9.29渡邊あみん

 オルガン(音楽)は、おおよそキリスト教会(ヨーロッパ)の中で育まれました。オルガンの持っているレパートリーが他のクラシックの楽器より、宗教色が濃いのはそのためです。オルガンの作品を演奏するのも、聴く側に人も、作品に込められた宗教的な意味合いを理解することは、大事なことです。      ですが同時に難しさ感じることも事実です。私はオルガンを取り囲む人たちは、そういう難しい部分に固まりすぎてしまい、もったいないと思っています。

 キリスト教(善良な神様を信じること)も、音楽も「目に見えないものを魅力、美とし、それに癒され、その力を自分のエネルギーにできるようにしてくれる」ものだと思っています。ですから、キリスト教の習慣的な理屈を理解することだけが、教会で育まれたオルガン音楽を理解する道筋だと思ってほしくありません。宗教の始まりは、人類が「お墓」という亡くなった人の亡骸を埋葬したときからだ、という説があります。目に見えないものを信じる行い全てを宗教だと定義する必要はありませんが、世界中の故人を弔う純粋な心は、宗教の種類を含めたあらゆる文化の違いと関係ないのではないでしょうか。キリスト教のシスターであるマザー・テレサも「宗教は無くなってしまえば良い」という言葉はそういうようなことだと思います。

 キリスト教国ではない日本でオルガニストとして生きていること上では特にそう思います。なので神様を「宇宙(人)」と定義する人たちがいますが、的を得ていると思います。そしてキリスト者が「一神」を楯にするのなら、それだけの懐の深さを見せてほしいです。 宗教から離れていく若い人たちが増えているといわれていますが、それだけ人類が次の次元へ進んでいくことの証明だと思います。 (※祈り・瞑想の習慣を身につけるために、何かしらの宗教を学ぶのはおもしろいと思います。)

 オルガン(音楽)を育ててきた特定の宗教を継承できなくても、祈りの空間で育まれた楽器として、純粋、単純、懐の大きい世界を大事にしたいと思います。オルガンはそういう世界を提示してくれる、人間性を超越したスケールの大きい楽器です。また、伝統的なクラシック作品と酒井多賀志作品の関係をそういう風に捉えています。


~豆知識~

パイプオルガンは、その基本的な仕組みが確立されてから、2000年以上の歴史を持っています。 私たちが親しんでいる近代オルガンの基礎が確立されたのはおよそ400年程前(17世紀~18世紀のヨーロッパ特に北ドイツ)のこ とです。

 ドイツ、キリスト教のプロテスタント、ルター派とよばれる人たちは、讃美歌(コラール)と呼ばれる神様を賛美するための合唱曲を、大聖堂の中で歌い、祈りを捧げました。その会衆の大合唱を支えるための伴奏楽器としてパイプオルガンは発達しました。パイプオルガンのペダルが発達したのもこの頃です。現代に通じる鍵盤楽器における基礎を築いたJ.Sバッハもこの頃の人物です。(「チラリ―ン、鼻から牛乳」の作曲者。正しくは「トッカータとフーガニ短調」BWV565)


今回ご紹介する、オルガニスト酒井多賀志のおすすめコンテンツ~

♪「オルガンはなぜ大きいのか」

♪CD〈 酒井多賀志オルガンリサイタル 第6集〉 (視聴)

 1)ドリア調トッカータとフーガ BWV538   J.S.バッハ           

「オルガン小曲集」より12のコラール前奏曲J.S.バッハ         

 2)「いざ来れ、異教徒の救い主よ」BWV599

 3)「主キリスト、神の独り子」BWV601      

 4)「たたえられよ、イエス・キリスト」BWV604      

 5)「甘い喜びのうちに」BWV608  

 6)「汝にこそ喜びあり」BWV615  

 7)「キリストよ、汝神の小羊」BWV619      

 8)「キリストは我らに幸を与え」BWV620  

 9)「おお人よ、汝の大いなる罪を嘆け」BWV622      

 10)「キリストは死の絆につきたまえり」BWV625    

 11)「我は汝に呼びかけん、主イエス・キリストよ」BWV639

 12)「我ら苦しみの極みにあるとき」BWV641           

 13)「ただ愛する神の摂理に任せ」BWV642

 14)G線上のアリア BWV1068-2   J.S.バッハ/編曲:酒井多賀志          

 15)賛美歌353番「泉とあふるる」の主題による変奏曲 Op.41酒井多賀志       

 16)オルガンソナタ第6番 ニ短調 Op.65-6 F.メンデルスゾーン      

 17)「真夏の夜の夢」より結婚行進曲 Op.61 F.メンデルスゾーン